第5回 「ボリウッド=HappyEndingsの法則」

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    わなっかんவணக்கம்!

    【ボンベイドリームス】では、プリヤの父マダン氏(自称:マダンクマールクマールさん)は、
    ”典型的な”ボリウッド映画を制作する有名プロデューサー、として描かれています。
    ここで言う”典型的な”とは、皆さんが「インド映画」と聞いてイメージする点と
    ほぼ合致していると思います。例えば・・・、
    勧善懲悪的な、わかり易いストーリー(ヒーローは完全無欠、悪役はとことんワル)。
    ・ヒーローとヒロインのロマンス。障害はあるが最終的には必ず結ばれる。
     愛が深まるところはダンスシーンで表現され、ヒロインは必ず濡れたサリー姿で踊る(笑)。
    ・物語の合間に、アクションやコメディーが挿入される。
    最後は必ずハッピーエンド


    ▲愛が深まることを表現する「濡れたサリー」のシーン。
     突然雨が降ったり、滝に打たれたり、湖に入ったり・・・、とシチューエーションは様々です。


    対して娘プリヤは、「観客は濡れたサリーは見飽きた。」
    「次もまたHappyEndings作るのね。観ないわ、ごめん。」
    と発言し、自身は父(=”典型的な”ボリウッド作品)とは違う
    社会派作品を撮りたいと希望しています。

    確かに、【ボンベイドリームス】が初めてロンドンで公開された2002年当時は、
    インドの商業映画のほとんどは、マダン氏タイプの作品でした。
    インドでは映画の鑑賞料金は非常に安く、物価が上昇している現在であっても、
    最低価格の座席で10ルピー(約20円)、最新シネコンでも100ルピー(約200円)程度で
    作品を楽しむことができます。(価格は南インド・タミルナードゥ州の例。ムンバイではもう少し高め。)
    安く楽しめる映画は、貧しい人たちにとっても最大の娯楽であり、アカーシュが言っているとおり
    「鑑賞している3時間の間だけでも、素晴らしい人生に出会いたい。」と考える人が多く、
    邦画や洋画でよくあるような”考えさせられる映画”は、ウケが良くありませんでした。
    そう、人々は何も考えずアタマを空っぽにして楽しめる作品を望んでいたのです。



    しかし、そんな中でもプリヤ的タイプの作品も、存在していました。
    【ボンベイドリームス】で使われている「チャイヤ・チャイヤ」という曲は、
    元々は【ディルセ 心から】という映画の1曲目ですが、
    この作品は、テロリストをテーマとしたハッピーエンドではない結末です

    プリヤの話す「歌と踊りはあるけど、社会派メッセージのある作品」と一致します。
    この作品の監督マニラトナム氏は、他にも同様の社会派映画を制作していて、
    日本でも、【ディルセ】はもちろん【ダラパティ 踊るゴッドファーザー】【ボンベイ】【頬にキス】
    など同氏監督の多数作品が、過去に日本語字幕付きで上映されています。


    ▲【ボンベイ】(1995)は、ヒンドゥー教とイスラム教のインド国内での宗教闘争をテーマにした作品。
     動画のように歌や踊りはあるものの、重く考えさせられるストーリーになっています。

     この作品もARラフマーン氏作曲。

    当時こういった宗教や政治をテーマにした社会派作品の上映には障害も多く、
    【ボンベイ】も一部地域の劇場では上映禁止となったり、映画館に投石されるなどしました。
    素晴らしい作品ながら、”典型的な”ボリウッド映画を望む庶民からは支持されず、
    むしろ海外での評価が高い作品が多くなっています

    ただ、最近ではインド映画も多様化が進み、政治や宗教はもとより
    格差社会・ジェンダーなど、これまでタブー視されていたテーマを扱った社会派作品や、
    カップル向けのホラーコメディー・サスペンスなど、今までなかったジャンルの作品が
    次々と公開され、人気を博しています。
    昨年日本で公開された【マダム・イン・ニューヨーク】や【めぐり逢わせのお弁当】のように
    歌や踊りがあまりない(あるいは全くない)作品も増えてきました
    むしろ、マダン氏的な”典型的”ボリウッド作品が少なくなったことにより、
    逆にそれを熱望する「回顧現象」も出てきているほどです。


    ▲昨年日本で最もヒットしたインド映画は
     歌や踊りがほとんど挿入されていない【マダム・イン・ニューヨーク】。


    プリヤの初監督、社会派作品【真実か嘘か】の観客コメントは散々でしたが、
    もし今の時代に公開されていれば、また別の評価になっていたかもしれませんね。
    「ボリウッド=Happy Endings」
    今でもその公式にあてはまる作品は多いものの、多様化はスピーディーに進んでいます

    皆さんは、ココロを使うマダン的作品、アタマを使うプリヤ的作品、
    どちらのインド映画がお好みでしょうか?

    ※マニラトナム作品上映情報
    「歌と踊りはあるけど、社会的メッセージ性の強い」”プリヤ的インド映画”を制作する
    マニラトナム監督の作品が、3月に東京国立近代美術館・フィルムセンターで特集上映されます!
    ・【ロージャー】【ボンベイ】・・・3/3・6
    ・【頬にキス】【ザ・デュオ】・・・3/4・7
    詳細は、
    http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2015-2/nittei.html 


    マサラミュージカル【ボンベイドリームス】
    ・東京公演 1/31(土)〜2/8(日) 東京国際フォーラム ホールC
    ・大阪公演 2/14(土)・15(日)  梅田芸術劇場メインホール

    ★当ブログ経由限定の「特典付・大阪公演S席チケット」を只今発売中!
    詳細は http://bombaydreams.rajini.jp/?eid=3

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